2013/01/08



昨年末、娘を実家に帰してから妻とレイトショーで『レ・ミゼラブル』を観ました。
実は夫婦で映画視るのはこれが初めて。子持ちだとデートもままならないものです。

この映画は妻の強い要望で観賞しました。
「あなたにはつまらないかもよ」と釘を刺されたのですが、正直なところ意外と楽しかったです。
ただし"楽しい"とはほかの映画と比較して"面白い"とは違います。同じ物差しでは測れないエンタテインメント性を持った、別のメディアだと考えたほうがいいかもしれません。
簡単に説明すると「カメラワークやCGなどの映画の技法を使えるミュージカル」でした。
全編ですべての登場人物が歌い踊り続けており、心情や時代背景などはその歌で説明されてしまうので、ややこしい行間を推測するのが苦手な僕には見てて楽ちんでした。
また、ミュージカルの大げさな動作がむしろそれぞれの感情を強く表現しており、それがカメラワークと相まって実に美しい画の連続。瞬間一枚を切り取って飾りたいと感じるシーンがいくつもあります。
よって、映画に対する期待の性格によって受け付けない人がいることは間違いなくあると思いますが、これはこれでアリだというのが個人的な感想です。

なお、スタッフロール時に後ろの席からぱちぱちと一人分の拍手が鳴りました。誰かわかりませんがよっぽど感動したんでしょうね。
しかし僕はその人と同じ感想は持っていても最後までスタンディングオベーションには加われませんでした。
何でって言われてもそういう習慣がないし「恥ずかしい」とか「みんな拍手したら加わろう」とか、そういう内向きの気持ちに抑制されてたのです。普段のように。周囲には他にもそんな人が多くいたのだと思います。
物語の概要は、苦しい時代に生まれた人々が自由を求めて圧力と戦うという、実は今の日本に対して強いメッセージを持っているものなのですが、劇場内ですら自分の意見や感情を行動に示せない日本で、この映画がどう評されるのか、それによってこれからの日本の人々の未来が垣間見えるのでは、というのは少し言いすぎでしょうか。